白い迷路・プラトニック異釈2

ドラマ「プラトニック」の、物語の近辺をウロウロしています…まだ。

かつての青年は理系の研究開発職だった。
病気が判明するまでは、ごく普通の日常生活を送る、
仕事に真面目で周囲にも優しい人だったように思われます。

余命宣告を受け、動揺した末に、自分が死ぬ運命にあることを諦観し、
心臓移植(他者の生への貢献)に、自らの生の意味を見出した。

が、死と相対するための彼の論理は「構築された」だけに、どうしても人工的で、
確信がどこか希薄であることを否めない。

たぶん、確信というのは、どこかで肉体の実感を伴うもの、
生きている感触に繋がっているものなのよね・・・。
彼が漂わせる浮遊感の幾分かは、
構築されているのに根なし草なところから、来ているのではないか。

そして再び死の恐怖に直面して揺らぎ(5話)、
「(僕を愛してくれる人は)この世界に誰もいないのか」
愛への希求が言語化されて、響き渡ります。

沙良が原初的な母なる闇だとすると
理詰めな青年はどこか脆弱な白い迷路なんです、私の中で。
ちょうど5話アナザーで視覚化されたような、
あの迷路は青年そのもの。

「君のママは喩えようもない安らぎを与えてくれた」(6話)
沙良に深く、深く愛されることによって満たされ、
恐怖を突き抜けた。
ナイフで刺された青年に、医師が「誰かいないのか」と問うけど、びくともしない感じ。
もう迷路は消え失せたから。

最後の表情は、全き愛に生きることを微塵も疑っていない。

たぶん、沙良の闇も以前とは違う。
人間の本質はそうそう変わらない。けど、
その闇も
今は蜜柑色の灯りを宿してる…気がする。