日本霊異記

奈良行き→奈良どこ行こうかな→役小角→という流れで
我が家にやって来た日本霊異記(原田敏明訳、平凡社クラシックライブラリー)、
とても読みやすいです。
以下、色々と半ちくな語り…失礼します。

平安時代、800年ごろに薬師寺の僧景戒が成した説話集。日本最古。
因果応報が一貫したテーマで
特に仏・法・僧が尊重されるものとして描かれていて
お坊さまに失礼した人、
そのほか、慈悲心のない人、人を騙した人、もろもろ
災厄に見舞われたり、動物になってしまったりする
(なぜか牛が多い。牛になり何年も苦役するとか)。

割と好きかも。
簡潔にさっさと進む筆運び。
その向こうに垣間見える、その頃の人々の暮らし、思い。
フォークロア

嫁を取ったら狐だったり
蛇に恋しどうしても添い遂げるという娘
高貴な方がなくなり火葬もしたのに、
自分が別の国に引っ越した時、引っ越し先でふとその方に会う
(先方は不思議な表情もなく)
修行僧が、寺の天女像に心募らせたり

欲ばったり恋い焦がれたり恐れたりする心、
色々な霊異を受け入れる心、
古代の人の、自分ではどうしようもないものに接する心、息遣い
古代はすごく遠いようでいて、そのメンタリティが
時空を超え「忘れられた日本人」とか、
すぐ近くに繋がってる…

飛鳥寺に関する逸話もあって。
飛鳥寺、何回か行きましたが、
あの、お部屋の中に飛鳥大仏様が鎮座ましますさまが
日常でもあり、そこから異空間に続くようでもあり。

霊異記も日常がふと異空間、異俗につながっている部分が
きっとそもそも人々の心のうちにあって、
不思議なできごとがさまざま、
ごく自然に逸話の中で語られるところに
引きこまれています。